公益社団法人京都保健衛生協会

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ハチ駆除業務紹介
空の巣を越冬場所にしていたのでしょうか?
平成24年11月7日
京都市の北の方は,人家が多くなったとはいえ,里山のような自然がたくさん残っています。今回の駆除の相談のあった場所もそんなところでした。
 現地に駆けつけ,現場を観察しました。巣は2階の軒先で地上から5から6メートルはあります。高さから少し駆除が難しい場所です。しばらく観察していましたが,一向に働き蜂が出入りしている様子はうかがえません。また,巣の外壁も少しツヤがなく,昨年の巣であるとの判断を致しました。
相談者に「おそらく大きさから見てコガタスズメバチの巣です。見たところ昨年の巣ですから,既に成虫はいません。放置しても大丈夫です。念のために巣を除去をしておきます。」と説明し,巣の除去を開始しました。
 長い釣竿の先に網を付けて引っ張り,巣を除去しました。
 私たちは,スズメバチの巣を単に駆除するだけを仕事ととは考えていません。駆除の機会にスズメバチ類の特徴,被害の防止の方法などをできるだけ説明し,スズメバチ類の正しい知識の普及に努めています。
  今回も除去した巣を材料に相談者にスズメバチの巣の構造など説明していました。するとなにやらガサガサと動くものが中にいます。ハチ類です。慌てて家庭でよく使われているエアゾール式の殺虫剤を噴霧しました。
コガタスズメバチの巣と内部にいた昆虫類採集された17匹のキアシナガバチ
カメムシ類1匹,セグロアシナガバチ3匹,そして9匹のキアシナガバチが出てきました。 採集された9匹のキアシナガバチ
キアシナガバチキアシナガバチを市街地で見ることは多くありません。少し珍しい種類です。時折依頼されるアシナガバチ類の相談も大部分は,セグロアシナガバチかフタモンアシナガバチです。
キアシナガバチの特徴一つは,前伸腹節に明瞭な黄色の斑紋(青い矢印の部分)があります。また,アシナガバチ類の中では比較的大きいほうです。
調査を行ったのは,11月10日でした。アシナガバチ類は,越冬体制に入っている時期であることには間違いがありません。スズメバチの巣の外壁は薄い外皮を幾重にも重ねて作ります。保温性が高いと言えます。そうしたスズメバチの巣の特性を利用してアシナガバチ類が越冬場所にしていたのでしょう。
11月を過ぎれば,スズメバチの巣の中は空っぽですと説明していましたが,今回の事例のようにアシナガバチが越冬場所にしている場合もあるようです。