公益社団法人京都保健衛生協会

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ミツバチ類
京都市内で見つけられるミツバチ類は昔から日本に住んでいるニホンミツバチと蜂蜜を採るための家畜として飼われているセイヨウミツバチがいます。

ミツバチ類の特徴の一つはメス(働きバチ)の後脚のふ節と呼ばれる部分が幅広くなっています。これは,集めた花粉をここに蓄え、巣に持ち帰るためのものです。巣の近くやお花畑などでふ節に黄色い花粉を一杯蓄えたミツバチを見かけるとがよくあります。

両者の簡単な違いは次のとおりです。
  ニホンミツバチセイヨウミツバチ
性質どちらかというとおとなしいどちらかというと気が荒い
体色黒っぽい黄色ぽい

厳密な区別の方法は、少し見にくいです。
ハチの仲間は翅(昆虫類では「はね」の漢字はこの翅を使うことが多い)が2対あります。前翅と後翅です。そのうち後翅の翅脈(しみゃく)に両者を分ける特徴があります。図のように後翅の一部が横から見るとセイヨウミツバチではY字状であること、ニホンミツバチではH状であることで区別ができます。

京都市内では,両種を確認してますが,私たちが市民の方からの依頼に基づいて実施しているミツバチ駆除の大部分はニホンミツバチで,セイヨウミツバチは稀でほとんど見ることがありません。
営巣と分封
ミツバチ類の駆除には二つの形態があります。天井裏などで巣を作って活動している状態を営巣と呼んでいますがその巣の駆除する場合と,多くの場合は年に一度,分封という巣別れをしますが、その分封の群れを駆除する場合があります。
上の画像は、春先に駆除したミツバチ類の巣盤です。巣の一部に他の巣の室とは異なる形状の室があります。これが王台です。規則的な六角形の室は働きバチが育てられますが,王台では女王バチが育てられます。この中に生みつけられた卵が特にロイヤルゼリーを多く与えられ、女王バチになります。その新しい女王バチが出現するときになると巣内に異変が起こります。分封です。

ミツバチ類の巣には2匹の女王バチが同居することは出来ません。新しい女王バチが羽化する頃になると新しい女王バチの母親にあたる古い女王バチが巣に中の働きバチと一緒に巣を飛び出してしまいます。飛び出したときには次の新しい巣になる場所が決まっていません。そこで、巣から飛び出した直後に木の枝、軒先などにかたまってとまります。これが分封です。 多くの場合、分封の近くには母屋に当たる巣があることが多いです。
左の画像は,平成12年5月2日にJR京都駅近くで駆除した分封群です。毎年,決まったように分封が確認される場所であるところから近くを探したところ近くの柳の根元の洞に元の巣がありました。
アシナガバチ類やスズメバチ類、特にスズメバチ類は,数個月で大きな巣を作ります。ところがこれらの巣は、春から作り始め,秋も深まる頃には沢山の女王バチが巣からでて行き、空になります。 ところがミツバチ類は、前述したように古い女王から新しい女王バチへとバトンタッチして同じ巣を使い続けます。
被害
分封は,群れとして集まるときに、また新しい巣を見つけて飛び立つときに数千にもおよぶ大群のミツバチ類が舞い飛ぶため人々を驚かせます。また,時折信号機等に群がり信号を見えなくしてしまい、大騒動になったこともあります。しかし,今まで多くの分封の処理に出かけていますが、刺さる被害に会ったということは聞いたことがありません。また、分封の駆除をしている最中でも私たちを襲うような行動は見られません。分封時は人に危害を加えないようです。
ミツバチ類は、自然界で植物の受粉に大きな役割を果たしています。分封もやがて場所を見つけて新しい巣作りを始め、自然界に大きな役割を果たすことは分かっているのですが、問題は新しい巣を作る場所です。 天井裏などに営巣することがあります。始めは小さな巣ですが,活動が活発になると巣板はどんどん大きくなってきます。蜂蜜も巣板の各巣房(部屋)にたっぷり溜まります。するとその蜂蜜の重さに耐えかねて巣板が落ちてしまうことがあります。天井裏に落ちた巣板から蓄えてあった蜂蜜が天井裏に流れ出します。やがて,天井に蜂蜜による大きな染みが出来てしまいます。そのようなことになれば、天井の張替えやクロスの張替えなどが必要になります。このことがミツバチ類が営巣した時の最も問題になる被害の一つです。