公益社団法人京都保健衛生協会
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コクヌストモドキ
甲虫の仲間です。甲虫は前翅が硬いグループです。コクヌストモドキは,食品害虫の王様ともいえるほどよくある相談があります。コクヌストは,穀物を盗む人という意味ですし,モドキは,にせ物あるいはまがい物という意味です。ということは,本物のコクヌストがいるということになります。コクヌストも食品害虫として有名ですが,私たちが相談を受けるのはまがい物のコクヌストモドキが圧倒的に多数を占めます。
特徴
甲虫類の鑑別が重要なのは,甲虫の種類によって発生源や対処方法がまったく異なることです。木材を加害するもの,カビを餌としているもの,植物質を加害するもの,動物質を加害するものなど,被害の形が全く異なります。当然,対処の方法も全く異なります。鑑別を誤ると,的確な対処ができないことになります。特に正確な鑑別が必要な昆虫類です。少し特徴を説明します。

体長は,4mm程度です。触角の先端の3節が大きく膨らむこと,複眼の前のほうがくぼむことなどの特徴があります。また,脚の先の方に短い節が連なっています。ふ節と呼ばれます。甲虫類は,グループを分けるうえで重要です。ちなみにコクヌストモドキは,ゴミムシダマシ科というグループに属し,ゴミムシダマシ科のふ節の特徴は前脚5節,中脚5節そして後脚は4節です。
コクヌストモドキは,お米を直接加害することはありません。お米の中の糠成分などを食べています。現在,市販されているお米は,精米技術が発達し,コクヌストモドキが発生することが少なくなりました。また,他の食品にも発生することがあります。食品類は密閉容器に入れ,保管するのがコクヌストモドキ以外の食品害虫にも有効な対策です。